アジア開発銀行インターン(2018.07-11,2018年度修士1年・柴田智博)

修士1年の7月末から11月末までの間、アジア開発銀行(ADB)フィリピン本部のSoutheast Asia Department Transport and Communications Division(SETC)という部署で、4ヵ月間インターンをしました。

ADBインターンに応募した理由は、国際開発金融機関での就業体験を通じて、1.国際機関で求められる経験や能力を知り、2.ADBがアジア地域の貧困削減に与えるインパクトの規模感と現場感とのバランスを体感し、3.将来のキャリアパスを考える際の道しるべとすることでした。結果、期待を上回るネットワークや職場環境に恵まれ、大変有意義な4ヵ月間を過ごすことができました。
ADBは所得の低いアジアの国に低金利でお金を貸し付けるだけでなく、専門家の知見を活かしてプロジェクトを設計し実行する役割を持っています。私はフィリピン・メトロマニラにある公共交通機関の駅や停留所周辺の歩行者環境を改善するプロジェクトに参加し、ジェンダーの観点から分析を行いました。安全性の低い歩行者環境を日々の生活で多く目にする中、その問題を解決しようというプロジェクトに参加していたので、社会的な意義・貢献を実感しやすく、やりがいを感じながら仕事をすることができました。ジェンダーの切り口で分析を行ったのは、現場に赴き人々の動きを観察し、関連レポートを読み込む中で、persons with disabilities(PWD)に対する取り組みが不足しているのではないかと考えたこと、フィリピン滞在中にADB Strategy 2030が策定されADB内でのジェンダーの重要性がますます高まっていたことが背景にありました。

ADBのinternational staffは全員何らかのspecialist(専門家)です。私はADBのtransport specialistやgender specialistの方に相談に乗っていただきながら研究を進め、時にはミーティングやコンサルタントの現地調査に同行させてもらうなど貴重な経験を積むことができました。また、フィリピンの大学の教授やフィリピンの交通局の協力のもとインタビュー調査を行ったり、ADB Youth for AsiaというNGOからデータをいただき解析するなど、たくさんの方の協力のもと研究を終え、その成果をプレゼンで報告しレポートにまとめることができました。

研究以外では100人弱のADB職員からお話を伺う機会に恵まれました。ADBに入るまでの経緯、途上国開発に携わることへの思いなどを聞く中で、職員の高い志や仕事に対する誇りを感じることができました。さらに世界各国から集まった20名ほどのインターン生と仕事以外の時間を共有する中で、自然と同世代のネットワークを広げることもできました。現在もそうした世界中で活躍しているインターン同期とは連絡を取り合い、大変励みになっています。

ADBでの経験やネットワークは修士課程の研究やキャリアパスを考える際の大きな足掛かりとなりました。またそれ以上に国際人としてどうありたいか、どういう志を持ちながら生きていきたいか、をADB職員の背中を見ながら考えることができたのは一生の財産となりました。この経験をいつかは国際社会に還元できるよう、今後とも積極的に自分を磨き、多くのことにチャレンジしていきたいと思います。

2019年10月7日 国際プロジェクト研究室修士2年 柴田智博